News&Culture ~向陽文化~

できないことに挑戦しようとする

2020年6月13日 15時15分

「天に向かって、ブツブツ言うな。雨の日には雨の日の生き方がある。」

東井義雄(教育者、僧侶)

 昨日の嵐のような天気とは違って、今朝は梅雨らしい静かな雨がしとしとと降っていました。
 今日は、朝から雨が降っているので、グラウンドは静かでしたが、体育館からは元気な声が響いています。

 今日もバレー部は、松浦先生が朝早くから体育館を開けて、準備をしてくれていました。
 外部コーチの方のパスやスパイク練習も熱心に続けられています。

【パス練習を行うバレー部の生徒たち】

【アタックレシーブを指導する外部コーチ】


 バスケ部では、幹一郎先生や後藤先生に加えて、今日も外部コーチの保護者の方も参加し、リバウンドについて、アドバイスをしてくれていました。
 また、今日は社会人のOBが、臨時コーチとして参加してくれました。

【リバウンドを指導する保護者のコーチ】

【社会人の卒業生が指導してくれました】


 学校の先生と保護者の方と地域の方たちの協力で、子供たちの活動をサポートする理想の姿がここにあります。

 向陽中学校だけではありませんが、多くの学校で、部活動は、難しい課題をいくつも抱えています。その中の問題の一つが、「生徒数の減少に伴う教職員の数の減少」です。

 当然のことですが、一つの部活動を1人の教職員だけで担当するのは、負担が大きいので、一つの部活動を2人の教職員で担当するのが一般的です。
 例えば、練習試合に行っていて、生徒がけがをした場合に、生徒への指導と、応急手当や保護者への連絡の両方は、教職員が一人では十分に対応できません。
 向陽中学校では、部活動担当が可能な教職員が13人ですので、教職員の人数から考えると、適正な部活動の数は6程度になります。しかし向陽中学校では現在8つの部活動が行われています。

 その負担や難しさをサポートしていただいているのが、地域の外部コーチの存在です。なかなか平日は難しいのですが、休日に専門的な指導ができるコーチの方が熱心に指導していただいています。向陽中学校では、バレー部やバスケ部の他に、野球部も外部コーチが指導をしていただいています。本当にありがたいことです。

 部活動をどのように運営していくのかは、本当に難しい問題です。

 生徒数が減少していけば、部活動そのものも継続していくことが難しくなります。一つの部の部員数が増えたからといって、部活動を指導できる教職員の数は変わらないので、運営が難しいのは変わらない状況になります。本校の部活動は、地域の方たちのサポートがないと、本当に成り立たない状況になっています。

 例えば、松浦先生はバレー部を、実質一人で担当しています。バレー部のもう一人の顧問の井伊先生は、サッカー部の主顧問として指導を担当しています。雨が降っているので、午後から森下先生と一緒に体育館で熱心に指導をしてくれていました。バレー部は外部コーチの方がいて、はじめて複数での部活動指導が可能になっています。

 部活動の数と、教職員の数のミスマッチは、このような掛け持ちで運営しないと成り立たない向陽中の現状につながっています。

【午後から体育館でサッカー部を指導する井伊先生】



 部活動の数と生徒数のミスマッチは、「部員数の問題」にもつながっています。例えば、野球部は3年生が4名、2年生は0名、1年生は今年度募集を停止しています。今年の1年生の入部状況では、バレー部も1年生は4人、バスケ部の女子も1年生は4人の入部でした。複数の学年で活動は可能ですが、部活動の数と生徒数の数のミスマッチは、部員数の不足やアンバランスといった課題にもつながっています。

 さらに、「先生方の働き方の問題」も考えていく必要があります。
教職員の平日の勤務時間は16:45までですが、この時期の部活動は18:15まで行われています。先生方は毎日1時間以上の時間外勤務を行った上で、自分の休日を返上して、部活動を行っています。

 さらに「指導体制のミスマッチ」も大きな問題です。自分の専門の部活動で、その指導を楽しみにしている先生方もいるのですが、一方でその種目が専門外でも、校内に担当できる教職員がいないので、無理にお願いして担当してもらっている先生方もいます。

 生徒数が減少している以上、担当できる教職員の数に合わせて、部活動の数を減らしていくことが必要ですが、では実際に、どの部活動を減らすのかということになると、「総論は賛成でも各論は反対」という難しい問題になってきます。

 逆に、文化部は吹奏楽部しかないので、パソコン部のような他の文化部を作ってほしいという要望は、保護者から毎年のように出ているようです。そのような意見も十分に理解できます。本校でも多様な活動を支援したいところですが、現状のままの指導体制では増やすことは全くできない状況です。

 教職員だけで運営するのではなく、今後も地域や保護者の方の運営や指導のサポートを受けながら、部活動の考え方や運営組織、体制そのものも、多くの意見をいただきながら、検討していく必要があります。

 と、ここまで書いて、東井義雄先生の『人生の詩』の中にある、次のような言葉を思い出しました。

 できないことをよけて通るのでなく
 できないことを見つけ出し
 それに挑戦しようとする 君
 宝は
 そういう人のみ 掘りあてられる