~ 向陽文化 ~

学校再開しても観たいおススメ映画⑤

2020年6月24日 19時00分

すべてを経験せよ 美も恐怖も 生き続けよ 絶望が最後ではない。
ライナー・マリア・リルケ
(オーストリアの詩人)

今日は、後藤先生のおススメ映画を紹介します。
後藤先生、素敵なメッセージをありがとうございました。

好きな映画紹介の文章が書けました。
よろしくお願いいたします。

「ジョジョ・ラビット」
舞台は第二次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョは気弱ながらも、空想上の友達であるアドルフ・ヒトラーの助けを借りて、立派な兵士になろうと奮闘していた。しかし、そんな彼の家にはユダヤ人少女がかくまわれていた!

今年1月に公開されたばかりで、6月にDVD販売・レンタルが開始されるため今すぐには観れませんが、好きな映画です。戦争をテーマにしていますがユーモアがあふれ、登場人物が1人1人非常に魅力的なので観やすい作品でした。ナチスの思想に染まり切った少年が、周囲の人々との関わりを通じてどう変化していくのかが見所です。私は映画館で観て泣きました。中でも、映画の最後に紹介されたリルケの詩が、心に残っています。
 
映画『ジョジョ・ラビット』予告編

昨日、6月23日(火)は、慰霊の日でした。

この慰霊の日(いれいのひ)というのは、沖縄県が制定している記念日です。1945年6月23日に沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなんで、毎年この日には糸満市摩文仁(いとまんしまぶに)の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が行われています。
今年は、新型コロナ感染症拡大防止対応のため、規模を大幅に縮小して行われたことが報道されていました。

この追悼式で、首里高校3年の高良さんが朗読した詩も、大変心を打つ内容でしたので、紹介します。

あなたがあの時

「懐中電灯を消してください」
一つ、また一つ光が消えていく
真っ暗になったその場所は
まだ昼間だというのに
あまりにも暗い
少し湿った空気を感じながら
私はあの時を想像する

あなたがまだ一人で歩けなかったあの時
あなたの兄は人を殺すことを習った
あなたの姉は学校へ行けなくなった
あなたが走れるようになったあの時
あなたが駆け回るはずだった野原は
真っ赤っか 友だちなんて誰もいない

あなたが青春を奪われたあの時
あなたはもうボロボロ
家族もいない 食べ物もない
ただ真っ暗なこの壕の中で
あなたの見た光は、幻となって消えた。

「はい、ではつけていいですよ」
一つ、また一つ光が増えていく
照らされたその場所は
もう真っ暗ではないというのに
あまりにも暗い
体中にじんわりとかく汗を感じながら
私はあの時を想像する

あなたが声を上げて泣かなかったあの時
あなたの母はあなたを殺さずに済んだ
あなたは生き延びた

あなたが少女に白旗を持たせたあの時
彼女は真っ直ぐに旗を掲げた
少女は助かった

ありがとう

あなたがあの時
あの人を助けてくれたおかげで
私は今 ここにいる

あなたがあの時
前を見続けてくれたおかげで
この島は今 ここにある

あなたがあの時
勇気を振り絞って語ってくれたおかげで
私たちは 知った
永遠に解かれることのない戦争の呪いを
決して失われてはいけない平和の尊さを

ありがとう

「頭、気をつけてね」
外の光が私を包む
真っ暗闇のあの中で
あなたが見つめた希望の光
私は消さない 消させない
梅雨晴れの午後の光を感じながら
私は平和な世界を創造する

あなたがあの時
私を見つめたまっすぐな視線
未来に向けた穏やかな横顔を
私は忘れない
平和を求める仲間として

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