News&Culture ~向陽文化~

安全なくして生産なし

2020年6月15日 07時10分

「安全なくして生産なし」
本田宗一郎
(本田技研工業創業者)

■ハインリッヒの法則
 ハインリッヒの法則とは、別名「1:29:300の法則」とも呼ばれている法則のことです。この法則は、アメリカの安全技術者であるハインリッヒが考案したモデルで、「1件の大事故が起こるまでには、29件の中程度の事故があり、300件の小さな事故がある。」というものです。
 何かがあったときに、大事故になるか小さい事故で済むのかは、運によるものではなく、統計学的に裏付けがあり、起こるべくして起こるということなのです。
 したがって、この法則から考えると、重大な事故は突発的に起きているわけではなく、その事故以前にすでに中程度の事故がいくつか発生していて、それ以前に起きている多数の小さな事故(ヒヤリ・ハット)を、できる限り減らすことが大事故を減らす方法になるわけです。
 学校の中でも、様々な施設の状況を確認して、メンテナンスをしていくことが、事故を防止することにつながります。向陽中学校では、安全点検を毎月行って、教職員から破損個所の情報を報告してもらっています。

■向陽中の施設の修繕状況

1 体育館の軒天工事

 本校に着任してすぐに、体育館東側の軒天に破損があることが分かりました。予算的な裏付けや確認が取れたところで、修理を依頼しました。6月13日(土)の午前中に修理を完了しました。


 工事担当者の方によると、ボールか何かをぶつけてできたような破損だそうです。少し時間が経っているようです。雨水や鳥などが入っている様子はないそうで、一安心でした。ガラスが割れていなかったのは不幸中の幸いです。
 野球やソフトボールかサッカーボールのようなものを想像しますが、原因は不明なままです。もし、破損した場合は、すぐに報告してほしいものです。





 どこが直ったのか、分からないくらい、きれいになりました。雨の中、工事をしていただいた業者の方には本当に感謝です。

2 南棟3階の軒天工事
 こちらは、着任前から課題となっていた部分になります。


 磐田市教育委員会の教育総務課の担当者や工事担当者とも打ち合わせをした上で、今週末から工事を開始しました。


 軒天の塗装がはがれてきているため、その剥がれを撤去した上で、改めて補修工事を行うわけですが、問題はなぜはがれてきてしまったのかという問題です。
 原因は、屋上のひび割れにありました。防水処理は行われているのですが、その中のコンクリートにクラックがあり、そこから雨水が染み込み、下に伝っているようです。





 防水部分をはがして、確認してもらったところ、予想通り、何箇所もクラックが入っている状態でした。校舎南棟の東側だけでなく西側まで、軒天の塗装がはがれたり浮きが出たりしていたのは、これが原因でした。
 今後、天候を見て、コーキング工事や防水工事等を行っていただく予定になっています。

 ちなみに、職員室の南側ロッカーはカビが発生しやすいという状況があり、先日、ロッカー内の荷物を全て出し、消毒と乾燥をしてから、整頓しました。中にも乾燥材を入れてあります。カビの原因は、不明ですが、この屋上からの雨水の漏水に一因があるのではないかと、私は想像しています。

3 向陽交番東の樹木剪定 
 向陽交番東側の桜の樹の枝がテニスコートに入っているので、学校の敷地なのか交番の敷地なのかについて確認してもらったり、交番の方とお話をしたりする中で、学校の敷地の桜の樹が交番に迷惑を掛けてしまっていることが分かりました。
 枝が大きく屋根に掛かっているだけではなく、根が地中から伸びて、交番の配管に以前から影響を及ぼしていたのです。
 教育委員会に相談したところ、学校の敷地の樹木なので、教育総務課の予算ではなく、学校の予算で対応しなければならないそうです。これは予想外の出費です。困ったことになりました。



 それでも、まずは迷惑を掛けている根の部分の処理から、業者の方にお願いしました。天候が回復したところで、至急対応することになっています。交番の方には大変な御迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした。
 学校の予算は限られているので、まずは交番の方の根や樹木の剪定が優先されます。交番東の樹木の剪定も、事情をお話して、とりあえず根の方を今年度の予算ですぐ対応して、屋根に掛かっている枝の剪定は、来年度の予算での対応になるかもしれないと相談しました。台風などで、屋根を傷つけなければよいが大丈夫かと心配しています。
 テニスコートに入っている枝は、最後になるかと思います。安全面ですぐ問題になるわけでなく、落ち葉などが今後邪魔になるという状況なので、子供たちにはしばらく我慢をしてもらうしかないです。

できないことに挑戦しようとする

2020年6月13日 15時15分

「天に向かって、ブツブツ言うな。雨の日には雨の日の生き方がある。」

東井義雄(教育者、僧侶)

 昨日の嵐のような天気とは違って、今朝は梅雨らしい静かな雨がしとしとと降っていました。
 今日は、朝から雨が降っているので、グラウンドは静かでしたが、体育館からは元気な声が響いています。

 今日もバレー部は、松浦先生が朝早くから体育館を開けて、準備をしてくれていました。
 外部コーチの方のパスやスパイク練習も熱心に続けられています。

【パス練習を行うバレー部の生徒たち】

【アタックレシーブを指導する外部コーチ】


 バスケ部では、幹一郎先生や後藤先生に加えて、今日も外部コーチの保護者の方も参加し、リバウンドについて、アドバイスをしてくれていました。
 また、今日は社会人のOBが、臨時コーチとして参加してくれました。

【リバウンドを指導する保護者のコーチ】

【社会人の卒業生が指導してくれました】


 学校の先生と保護者の方と地域の方たちの協力で、子供たちの活動をサポートする理想の姿がここにあります。

 向陽中学校だけではありませんが、多くの学校で、部活動は、難しい課題をいくつも抱えています。その中の問題の一つが、「生徒数の減少に伴う教職員の数の減少」です。

 当然のことですが、一つの部活動を1人の教職員だけで担当するのは、負担が大きいので、一つの部活動を2人の教職員で担当するのが一般的です。
 例えば、練習試合に行っていて、生徒がけがをした場合に、生徒への指導と、応急手当や保護者への連絡の両方は、教職員が一人では十分に対応できません。
 向陽中学校では、部活動担当が可能な教職員が13人ですので、教職員の人数から考えると、適正な部活動の数は6程度になります。しかし向陽中学校では現在8つの部活動が行われています。

 その負担や難しさをサポートしていただいているのが、地域の外部コーチの存在です。なかなか平日は難しいのですが、休日に専門的な指導ができるコーチの方が熱心に指導していただいています。向陽中学校では、バレー部やバスケ部の他に、野球部も外部コーチが指導をしていただいています。本当にありがたいことです。

 部活動をどのように運営していくのかは、本当に難しい問題です。

 生徒数が減少していけば、部活動そのものも継続していくことが難しくなります。一つの部の部員数が増えたからといって、部活動を指導できる教職員の数は変わらないので、運営が難しいのは変わらない状況になります。本校の部活動は、地域の方たちのサポートがないと、本当に成り立たない状況になっています。

 例えば、松浦先生はバレー部を、実質一人で担当しています。バレー部のもう一人の顧問の井伊先生は、サッカー部の主顧問として指導を担当しています。雨が降っているので、午後から森下先生と一緒に体育館で熱心に指導をしてくれていました。バレー部は外部コーチの方がいて、はじめて複数での部活動指導が可能になっています。

 部活動の数と、教職員の数のミスマッチは、このような掛け持ちで運営しないと成り立たない向陽中の現状につながっています。

【午後から体育館でサッカー部を指導する井伊先生】



 部活動の数と生徒数のミスマッチは、「部員数の問題」にもつながっています。例えば、野球部は3年生が4名、2年生は0名、1年生は今年度募集を停止しています。今年の1年生の入部状況では、バレー部も1年生は4人、バスケ部の女子も1年生は4人の入部でした。複数の学年で活動は可能ですが、部活動の数と生徒数の数のミスマッチは、部員数の不足やアンバランスといった課題にもつながっています。

 さらに、「先生方の働き方の問題」も考えていく必要があります。
教職員の平日の勤務時間は16:45までですが、この時期の部活動は18:15まで行われています。先生方は毎日1時間以上の時間外勤務を行った上で、自分の休日を返上して、部活動を行っています。

 さらに「指導体制のミスマッチ」も大きな問題です。自分の専門の部活動で、その指導を楽しみにしている先生方もいるのですが、一方でその種目が専門外でも、校内に担当できる教職員がいないので、無理にお願いして担当してもらっている先生方もいます。

 生徒数が減少している以上、担当できる教職員の数に合わせて、部活動の数を減らしていくことが必要ですが、では実際に、どの部活動を減らすのかということになると、「総論は賛成でも各論は反対」という難しい問題になってきます。

 逆に、文化部は吹奏楽部しかないので、パソコン部のような他の文化部を作ってほしいという要望は、保護者から毎年のように出ているようです。そのような意見も十分に理解できます。本校でも多様な活動を支援したいところですが、現状のままの指導体制では増やすことは全くできない状況です。

 教職員だけで運営するのではなく、今後も地域や保護者の方の運営や指導のサポートを受けながら、部活動の考え方や運営組織、体制そのものも、多くの意見をいただきながら、検討していく必要があります。

 と、ここまで書いて、東井義雄先生の『人生の詩』の中にある、次のような言葉を思い出しました。

 できないことをよけて通るのでなく
 できないことを見つけ出し
 それに挑戦しようとする 君
 宝は
 そういう人のみ 掘りあてられる

ロバと親子

2020年6月11日 23時22分

町にある市場でロバを売るため、親子とロバが田舎道を歩いていました。
道端で井戸水を汲んでいた女の子たちが、歩いている二人を見て、あきれたように、次のように言いました。
「なんて馬鹿な人たちでしょう。どちらか一人がロバに乗ればいいのに。」
お父さんはその通りだと思い、息子をロバに乗せて、また歩き出しました。

しばらく行くと、老人たちがたき火をしていました。老人の一人が不機嫌そうに、こう言いました。
「今どきの若い者は年寄りを大切にしない。年老いた父親が歩いているのに、あの子はロバに乗ったままで平気な様子じゃないか。」
息子はその通りだと思い、ロバからおりて、父親をロバに乗せて、また歩き出しました。

しばらく行くと、子供を抱いた母親たちに会いました。一人の母親がこう怒って言いました。
「まったく恥ずかしいことだよ。子供があんなに疲れた様子なのに、どうして自分だけが王様みたいにロバに乗っていられるんだろうね。」
お父さんはその通りだと思い、息子もロバに乗せ、また進みました。


しばらく行くと、数人の若者たちに出会いました。一人の若者はこう言いました。
「あなたたちはどうかしているんじゃないか。こんな小さなロバに二人で乗るなんて。動物虐待だと思われても仕方がない。」

二人はその通りだと思い、ロバを二人で担いで歩いていきました。
町の人たちは、二人の様子を見て、手をたたいて笑いました。

(参考:『座右の寓話』 戸田智弘 Discover21)

6月に入り、暑い日には、本校でもエアコンを入れています。

教室の温度が29度以上になったので、さっそくエアコンをつけると、生徒からは「寒いのでジャージを着てもいいですか」とか、先生方の中にも「少し寒いのではないでしょうか」といった声が聞かれます。

数日後に、各教室を回っても28℃以下で、湿度もそれほど高くないので、扇風機を使用してエアコンをつけないと、生徒からは「今日も暑いです~」といった声が聞かれます。(笑)

学校には学校環境衛生基準というものがあって、教室内の温度が17度から28度が望ましいとされています。
その基準の温度や湿度を参考にして運用していますが、人によって体感温度は違うので、難しいものです。
実際、体育の授業後は暑いでしょう。今日みたいな日は、温度は低いのですが、湿度は高いので、べたっとした状況です。
しかし、各教室で個別につけたり消したりを繰り返すと、電気代がかさむそうです。

学校では磐田市から示されているエアコンの運用指針を基に、エアコンを使用します。
本校では、基準となる温度を超えたら一斉につけて、あとは各教室で温度調整をしていく予定です。
子供たちにとって、少しでも快適な学習環境になるよう、配慮していきます。

 エアコン運用指針(掲示用).pdf

学校再開しても観たいおススメ映画③

2020年6月10日 19時18分

「ぼくはきっとできると思う。なぜならぼくらがそれをいまかんがえているのだから」

宮沢賢治
(作家)
 
 今日は入梅にふさわしい雨の一日になりました。東海地方も梅雨入りが宣言され、明日は激しい雨が予想されています。登下校中には十分に注意をしてください。

 また、部活動も長い時間が続いて、生徒の皆さんの様子を見ていると、やや疲れが感じられる人も多くなってきました。雨が続くとけがをする人も増えやすいので、室内での練習の際には、捻挫や骨折をしないよう、気を付けてほしいものです。
 
 さて、話は変わりますが、最近のニュースで、アメリカの黒人男性が白人警察官によって殺害されたことに端を発する人権や差別の問題が、様々な場面で話題となっています。

 アメリカのスポーツブランドのNikeは、「Just Do It」というスローガンで有名ですが、「For once Don't Do It」というスローガンの次のようなCMを発表しました。

 
For once, Don’t Do It / Nike
 

 今日、私がおススメする映画は、そんな差別や格差、人種の問題について考えを深められる映画です。

 その映画というのは、『タイタンズを忘れない』(原題:Remember The Titans)という、デンゼル・ワシントン主演のアメリカ映画です。

 今から約50年くらい前のアメリカでは、公民権法という人種差別を禁止する法律が施行されました。この法律は、投票や教育、雇用等で人種による差別を禁止する法律でした。ケネディ大統領がその成立のために努力しますが、暗殺され、次のジョンソン大統領のときに成立しました。
 英語の教科書でも載っているほど、キング牧師の公民権運動に関わる演説はあまりにも有名です。キング牧師もまた、ケネディ大統領と同様に暗殺されました。人種差別の問題がいかに根深いかを物語っています。

 
キング牧師演説 "私には夢がある" - Martin Luther King "I Have A Dream"

 この映画は、そんな公民権法に基づく、白人と黒人が共に学ぶことを求められたバージニア州の高校のフットボールチームが、周囲からの偏見や人種差別を乗り越え、一つのチームとなっていく映画です。
 中学生の皆さんにも、観てほしいおススメ映画です。

 
Remember the Titans Official Trailer (2000)
 
 私は「デンゼル・ワシントンにはずれなし」という信念をもっています。(笑)
 彼が主演している映画にはこの他にも、『ジョンQ-最後の決断-』や『マルコムX』といった社会派の、格差や人種差別、宗教といった問題を正面から取り上げた映画がたくさんありますので、よかったら、こちらもおススメです。

1.01の法則と0.09の法則

2020年6月7日 11時52分

子供 Children Learn What They Live
ドロシー・ロー・ノルト
(作家・教育学者/『子どもが育つ魔法の言葉』から)

批判ばかりされた子供は
非難することをおぼえる

殴られて大きくなった子供は
力にたよることをおぼえる

笑いものにされた子供は
ものを言わずにいることをおぼえる

皮肉にさらされた子供は
鈍い良心のもちぬしとなる

しかし,激励をうけた子供は
自信をおぼえる

寛容に出会った子供は
忍耐をおぼえる

賞賛をうけた子供は
評価することをおぼえる

フェアプレーを経験した子供は
公正をおぼえる

友情を知る子供は
親切をおぼえる

安心を経験した子供は
信頼をおぼえる

可愛がられ抱きしめられた子供は
世界中の愛情を感じとることを
おぼえる

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今週末も部活動や社会体育など、先生方や保護者の方、地域の方が、生徒たちと共に汗を流しています。
今日は、そんな様子をレポートします。

バレー部は、外部コーチの方と顧問の松浦先生が一緒になって、指導していました。外部コーチの方の専門的な指導もあり、生徒たちもよく声を出して取り組めています。大変雰囲気が良く、パスやレシーブなど、基本的な技術を意欲的に学んでいました。





バスケットボール部では、外部コーチの保護者の方、そして特別ゲストとして、浜松開誠館高校出身の早稲田大学の現役プレイヤーを臨時コーチに招いて、肩甲骨や体幹といった身体の使い方やパス、ドリブルやシュートなどの最新の技術を教えてもらいました。
「単にバスケットボールの技術を学ぶことや体力を向上させることだけを目的にせず、バスケットボールを通して学んだことを、自分の生き方に生かすことが大事だ」と自分のこれまでの体験を踏まえて話していました。






サッカー部では、顧問の井伊先生から、ボールコントロールなどの細かな基本技術を徹底して教えていただきました。森下先生も一緒になって汗を流しながら、細かな体の使い方をアドバイスしていました。目的に応じてグラウンドやアスファルトなど、使い分けて練習をしています。



陸上競技部でも、平松先生や仁之先生から、熱心に指導をしていただきました。ランニングだけでなく、瞬発力を向上させる様々な練習メニューを工夫して、取り組んでいました。


ソフトテニス部も、上級生が1年生にも分かるように、丁寧に声の掛け方や走り方を指導していました。キャプテンを中心に主体的な取組が大変すばらしいと感心しました。

日曜日には、外部コーチの方が中心になって社会体育として、野球も頑張っていました!
(活動の様子を撮影するのをうっかりして忘れてしまいました。すいません!)

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第1回資源回収の回収期間を一か月間としましたが、PTA施設厚生部の皆さんと先生方が、年度当初の予定日だった6月7日(日)の午前中に念のため、地域を巡回したりコンテナの回収状況を確認したりしました。PTA施設厚生部の皆様と先生方には、休日にもかかわらず、熱心に活動いただきました。本当にありがとうございました。

【PTA施設厚生部の皆様です】







資源回収のコンテナは、すぐに一杯になったので、先日すでに一度コンテナを交換しましたが、2回目も一杯になってきました。
順調に回収できています。皆様の御協力に感謝します。
なお、6月末まで、コンテナは常設します。
生徒の皆さんも、登校したときに、家庭にある資源を少しずつ持ってきてもよいと思います。保護者の方や地域の方だけでなく、生徒の皆さん自身も一緒になって資源回収を行っていきましょう。
今後も、保護者の皆様、地域の皆様の御協力をお願いします。

少し話は変わりますが、「1.01の法則と0.09の法則」という三木谷浩史さん(実業家・楽天の創始者)の言葉を聞いたことがあります。
この言葉は、1.01を365乗すると約37.8となるのに対し、0.09を365乗すると約0.03となるということを紹介したものです。
わずかな努力の差が、一年後には大きな差となるという法則です。
「継続は力なり」という言葉もあります。
子供たちの学びも大人の学びも全く同じことです。ほんのわずかな改善の積み重ねが、大きな力になると信じています。